中核サービスの中身

システムの見積もりを、発注者側から確認する

提案書の金額だけでなく、含まれる作業、追加費用の条件、データの返却、運用開始後の担当まで確認します。 下の例で、実際に確認する項目とお渡しするメモの形を説明します。

実際の作業

見積書で確認する10項目

ここに出しているのは、よくある形の見積書に対して実際に入れる指摘です。 どれも「金額が高い・安い」の話ではなく、そもそも比較できる状態になっているかを見ています。

システム導入ご提案書 A社/例示のため実在の提案書ではありません

初期構築費 一式 4,800,000円

?「一式」の中身が分かれていません。画面数・帳票数・設定作業などに分けてもらうと、他社の提案と比較しやすくなります。

保守費 月額 80,000円(別途協議

?何が保守に含まれ、何が別料金かが分かりません。問い合わせ対応、障害対応、軽微な修正の範囲と受付時間を確認します。

データ移行 貴社にてご準備

!実務では、ここが一番重くなりがちです。誰が何時間かけるのかを、稼働開始日を決める前に見積もっておく必要があります。スコープから最も漏れやすい項目です。

納品物 プログラム一式、操作マニュアル

!ソースコードと設計書の扱い、著作権の帰属が書かれていません。将来ほかの会社に引き継げるかが、ここで決まります。買い切りのつもりが、納品後に自分で触れない、ということが起きます。

開発体制 弊社標準体制にて

?人月単価が書かれていません。書かれていない場合は「総額÷想定工数」で逆算して、相場と並べます。単価が分からないと、追加開発が発生したときの費用も読めません。

追加開発 別途お見積り

!オプション・追加開発の単価が明記されていません。追加作業が必要になった場合の計算方法や承認手順を、契約前に確認します。

テスト 結合テストまで実施

?受入テストを誰がやるのかが書かれていません。「お客様にご確認いただきます」で終わっている場合、実質的にその工数はこちら持ちです。何日分の作業になるのかを先に出してもらいます。

データ形式 弊社独自フォーマット

!データをエクスポートできるか、形式は何かを確認します。将来の乗り換えに必要な作業と、解約時のデータ返却条件も契約書で確かめます。

運用開始後 貴社ご担当者様にて運用

?現場の誰が、いつ、何回操作するのかが書かれていません。今の紙・Excelと二重運用にならないか、入力にかかる時間も含めて現場の担当者に確認します。

その他 記載なし

!「入っていないもの」が書かれていません。入っているものより、入っていないものを列挙してもらうほうが、後の揉めごとは減ります。再委託の有無と範囲も、ここで一緒に確認します。

※ 上記は説明のために作成した例です。実在の企業・提案書とは関係ありません。

見る観点

6つの観点で確認します

提案ごとの差を同じ基準で比べるため、次の順で抜けや前提条件を確かめます。

  • ① 金額の妥当性
    人月単価、初期費と月額の比率、保守費の割合、「一式」の数、追加開発の単価。
  • ② スコープ
    入っていないものが書かれているか。データ移行、既存システムとの連携、教育・マニュアル、受入テストの担当。
  • ③ 契約と権利
    請負か準委任かSaaS利用か。著作権とソースの帰属、契約不適合責任の期間、再委託の範囲。
  • ④ ロックイン
    5年後に自由でいられるか。独自フォーマットの有無、エクスポートの可否と形式、他社が引き継げる状態か。
  • ⑤ 現場が使えるか
    現場の誰がいつ何回触るのか。入力の手間が増えていないか。紙・Excelと二重にならないか。
  • ⑥ 相見積り
    何社取っているか。1社しかない場合は、金額の話をする前にそこを指摘します。

契約形態が書かれていない場合は、請負・準委任・SaaS利用のどれに当たるかを確認します。 完成責任、追加作業、解約時の扱いが契約形態によって異なるためです。

お渡しするもの

A4で1〜2枚にまとめます

社内で確認しやすく、ベンダーへの質問にも使えるよう、A4で1〜2枚に整理します。

見積り査定メモの中身

  • 結論── 「発注してよい」「条件付きで可」「いったん保留」のどれかを1行で
  • 押さえるべき点── 多くて5つ。【金額】【スコープ】【契約】のように頭に分類をつけて
  • 先方に確認していただきたい質問── そのまま使える文面で。「〜は本見積りに含まれますか。含まれない場合の概算も教えてください」といった形にしておきます
  • 補足── 本メモは技術面の確認であり、法務・税務の判断ではありません

判断しないこと:ベンダー自体の良し悪しや、契約書の法的有効性は判定しません。 指摘は資料に書かれた事実と不足項目に限定し、雪工房への発注へ誘導することもありません。

対象外:特定製品の販売、基幹システムの開発、法務・税務の判断。

支援すること:提案と見積もりを比較できる形に整え、確認すべき点を質問文にします。最終決定は発注者が行います。

よくある質問

目利きについて、先に聞かれること

1社からしか見積りを取っていませんが、見てもらえますか。

見られます。その場合はまず「相見積りが1社しかない」こと自体をお伝えします。金額が妥当かどうかは、比べる相手がいないと判断できないためです。その上で、その1社の見積書について、スコープ・契約・ロックインの観点から確認すべき点を出します。もう1社取るかどうかを決めるのはお客様です。

指摘をすると、ベンダーとの関係が悪くなりませんか。

ベンダーを責める書き方はしません。指摘するのは見積書であってベンダーではなく、お客様はその後もその会社と付き合っていくからです。お渡しする質問文も「〜は含まれますか。含まれない場合の概算も教えてください」といった、事実を確かめる形にしています。あいまいな条件を着手前に確認し、認識違いを減らすための作業です。

契約書の法務チェックもしてもらえますか。

法務・税務の判断はしません。有資格者の領域に踏み込まないためです。雪工房が見るのは技術面で、たとえば「著作権の帰属が書かれていない」「解約時のデータ返却の定めがない」といった、後で困る箇所を指摘するところまでです。査定メモにも「本メモは技術面の確認であり、法務・税務の判断ではありません」と明記しています。その先が必要な場合は、弁護士など有資格者にご相談ください。

査定だけを単発で頼めますか。

頼めます。見積もり・提案書のセカンドオピニオンとして1件30,000円(税込)、3〜5営業日でお出しします。ただしDX伴走顧問(月額80,000円・税込)をお使いいただいている期間は、この査定は顧問料に含まれるため、別途いただくことはありません。

お問い合わせ

提案書の確認から相談できます

手元の見積書や提案書について、判断に迷っている点を30分で伺います。 ご希望がない限り、相談後の継続連絡は行いません。

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